建築の技術はとてつもなく速さで進歩しています。昔はよく見られる欠陥も今では見られなくなったということも多くあります(天井のかぶりの剥離など)。
ただし、様々な原因でやはり欠陥は起きてしまいます。軽微な欠陥は補修で解決でき、その知識と技術を持つ建築屋が重宝されます。
今回は初期欠陥の一つである「ジャンカ」について。
豆板(ジャンカ)とは?
「豆板」はコンクリート打設時の初期欠陥のうちの一つです。表面がザラつき粗骨材が確認できる状態。「す」「あばた」とも呼称されています。
→空隙ができ、強度が下がり、脆い部分となる。
→中性化の抑制効果がほとんどない。
一般的に補修するのが一番です。(ただ、ジャンカを楽しむ人も結構います。)
発生原因
コンクリート打設時の、①締め固め不足や、②セメントと砂利の分離、③型枠下端からのセメントペーストの漏れが原因で発生します。
なので、主に打設時に原因があるんですね。圧送屋と打設屋さんの連携が大切です。
対策
①締め固めを十分に行う。特に、打設をしずらい箇所には十分に締め固めを行う。
②コンクリート打設時の落下高を抑え、分離が生じにくくする。(かと言って横流しもダメ。職人さんの腕ですね。)
③型枠からペーストの漏れを防ぐ。まつけん設計では必ず確認する係の者をつけて見張りを行います。
④プレキャスト部材と現場打ちコンクリートとの接合部については、コンクリートの打込みに先立ち、散水してせき板及びプレキャスト部材の接合面を湿潤状態にする。
等級と補修
とはいっても、ジャンカはRC躯体にはつきものです。そのままにして「味」として楽しむ方もいますが、程度によって等級5段階に分けられ、補修するのが一般的です。
等級A:表面に砂利が露出していない。・・・OK
等級B:砂利が露出。剥落の恐れがない。
→ポリマーセメントモルタルの塗布
等級C:砂利が露出。剥落するものがあるが、ある程度は結合力がある。
→不良箇所をはつり、ポリマーセメントペースト塗布、ポリマーセメントモルタルの充填
等級D:砂利が奥まで露出。空洞も見られ、叩くと多くがバラバラと剥落する。
→不良箇所をはつり、無収縮モルタルを充填
等級E:空洞が多く見られ、叩くと多くがバラバラと剥落する。
→不良部分をはつり、コンクリートで打ち換える。※この時、露出した鉄筋とその周りの部分との隙間を最低30mm以上あける。
ジャンカは「欠陥」ではあるが、心配ありません。
ジャンカは欠陥として補修の必要がありますが、耐震性能が低くなったりする恐れはありません。
施工会社によっては全てのジャンカを写真に残し、補修後の写真と一緒に保存しています。
参考図書
欠陥住宅をつくらない施工会社を見つける方法―建主さんだけでなく職人さんも必読!
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